清華大学環境学院の黄軍准教授と彼のチームは、中国のいくつかの都市の水道水に高濃度の汚染物質が含まれていることを発見した論文を発表した。特定された汚染物質の総称はPFAS（パーフルオロアルキルスルホン酸塩）で、PFOA、PFOS、PFNA、PFHxS、PFHpA、その他9,200以上の化学物質が含まれる。これらの人工化学物質は自然界に残留する可能性があり、化学、繊維、建設、製紙産業で広く使用されている。黄軍氏は、PFASの製造と使用における調査の強化、PFASの排出に関する監視と管理措置の改善などを訴えた。

PFASは、関連する動物実験によれば、精巣がんや腎臓がん、生殖能力や繁殖力の低下、免疫抑制、甲状腺疾患、その他の悪影響を引き起こすリスクが高く、人間の健康への脅威を示唆している。PFASのうち、PFOAとPFOSはすでに米国と欧州諸国で排出規制のある水道水汚染物質とみなされている。黄氏の中国66都市の調査によると、いくつかの都市のPFAS濃度レベルは、PFOAとPFOSの合計で70ng/Lと、米国が定義した一般的な制限をはるかに超えている。これらの都市は主に中国の東部と南西部、あるいは長江流域にあり、PFASを含む下水を排出するフッ素化学企業が多く存在する。例えば、四川省の紫公と成都の数値はそれぞれ502.9ng/Lと119.4ng/Lである。浙江省の杭州では74.1ng/Lだった。

しかし中国は、下水排出基準にPFASを含めるなど、PFASの排出レベルを管理するための具体的な規制や対策をまだ策定していない。にもかかわらず、ここ数年、中国はPFOSとPFOAの生産と使用を制限するガイドラインをいくつか発表し、PFOSの年間生産能力は200トン近くから30トン未満に減少し、現在PFOSを生産しているのは1社のみとなっている。さらに2019年5月、中国は180カ国以上が遵守している残留性有機汚染物質（POPs）に関するストックホルム条約に基づき、PFOAおよび関連化合物の生産と使用を禁止することに合意した。

情報源

http://science.caixin.com/2021-01-12/101649646.html

https://cen.acs.org/policy/chemical-regulation/cn-Governments-endorse-global-PFOA-ban/97/i18