シンガポールの政府系ファンド(SWF)GICは、都市部の冷暖房を中心とするシンガポールの再生可能エネルギー企業、アークティック・グリーン・エナジー社に3億2600万SGD(2億4000万米ドル)を投資すると発表した(7月23日付ストレーツ・タイムズ紙報道)。アークティック・グリーン・エナジー社は、この資金を新たな地熱エネルギー・プロジェクトとそれに関連する能力増強に充てる予定だ。今回の投資は、両社が最近、ヨーロッパとアジア全域で炭素ゼロの地域暖房技術を推進する戦略的提携を結ぶことで合意した中で行われた。アークティック・グリーン・エナジー社は公式プレスリリースの中で、GICの金融の専門知識、資本力、国際的なネットワークが同社の新市場での成長をサポートするだろうとコメントしている。JPモルガン[JPM:US]は、この取引の唯一のプレースメント・エージェントであった。
アークティック・グリーン・エナジー社は、アイスランドの地熱事業から技術的専門知識を得た。持続可能な地熱技術を都市環境に提供することを目的に、同社は2006年に中国のシノペック[SNP:US]との合弁会社であるシノペック・グリーンエナジーを設立し、以来中国北部の60の市と郡で600近くのセントラルヒーティングプロジェクトを実施してきた。現在、シノペック・グリーンエナジー社は、年間15メガワット(MW)の発電能力を持つ世界最大の地熱地域暖房プロジェクト開発企業である。これに加えて、北極グリーン・エナジー社は中欧の市場も開拓していた。最近、ブダペストに本社を置くFŐTÁV社と提携し、年間2万1000トンのCO2排出量削減を目的としたブダペストの地域暖房を開発した。
アークティック・グリーン・エナジーは、GICのポートフォリオに含まれる唯一のグリーンエネルギー企業ではない。SWFは昨年7月、デューク・エナジー[DUK:US]のような企業のクリーンエネルギー移行と脱炭素化への取り組みを支援するため、持続可能な投資ファンドを設立した。また今月初めには、コネチカット州を拠点とするライムロック・ニューエナジー社と提携し、再生可能エネルギーと電化ソリューションを提供するQmerit社に投資した。GICのチーフ・インベストメント・オフィサーであるジェフェリー・ジェーンシュバキジ氏によると、SWFは投資先企業と協力して炭素排出量を削減する一方、SWFの内部事業においてカーボンニュートラルに向けた取り組みを加速させるという。昨年度、SWFは世界の10拠点でカーボンニュートラルを達成すると同時に、過去6年間で最高のリターンを達成した。
情報源
https://www.straitstimes.com/business/economy/gic-invests-326-million-in-arctic-green-energy
https://www.straitstimes.com/business/gic-increasing-focus-on-sustainable-investments
https://arcticgreencorp.com/about/