欧州中央銀行（ECB）が実施した新たな調査により、欧州連合（EU）の銀行の融資慣行と企業の気候変動関連活動との間に直接的な関係があることが明らかになった。カルロ・アルタヴィッラ氏らが主導した調査によると、銀行は気候変動リスクを融資判断に取り入れる傾向が強まっており、温室効果ガス（GHG）排出量の多い企業には高い金利を課す一方、環境負荷の低減に取り組む企業には低い金利を提供している。 

このシフトは、気候変動と闘うための世界的な取り組み、特に2050年までに排出量を正味ゼロにすることを目指す2015年のパリ協定に沿ったものである。同年に発足したSBTi（Science Based Targetsイニシアティブ）は、銀行を含む企業が気候科学に沿った目標を設定するよう導く上で極めて重要な役割を果たしている。調査によると、SBTiに加盟している銀行は、脱炭素化に積極的に取り組む企業に対して有利な融資条件を提示する可能性が高いことがわかった。 

ECBの調査では、2018年9月から2022年12月までのEUの銀行と企業のデータを分析し、融資慣行、金利、気候情報開示に焦点を当てた。その結果、SBTiに加盟しているような脱炭素化にコミットしている銀行は、融資慣行を効果的に利用して企業行動に影響を与えており、温室効果ガス排出量を削減している企業にはより安い融資を提供し、より汚染度の高い企業にはペナルティを課していることが明らかになった。 

これらの調査結果は、財務上の意思決定を形成する上で、ESG（環境、社会、ガバナンス）と持続可能性報告の重要性が高まっていることを強調している。気候変動リスクが銀行業界に浸透し続ける中、SBTiや持続可能性報告のようなツールが、EU全体で気候変動に対する意味のある行動を推進するためにどのように活用されているかが、この調査で明らかになった。 

情報源 

https://www.forbes.com/sites/jonmcgowan/2024/08/26/eu-banks-charge-higher-interest-rates-to-companies-with-high-ghg-emissions/ 

https://www.ft.com/content/c2408062-68c4-4a50-af9a-29099e95dda1 

https://carbon-pulse.com/315727/ 

https://www.responsible-investor.com/climate-laggards-pay-significantly-higher-bank-interest-rates-ecb-finds/