中国は11月17日の国務院常務会議で、石炭のクリーンで有効な利用を支援するため、2,000億人民元（313億5,000万米ドル）相当の特別融資枠を設けると発表した。具体的には、全国に展開する銀行が石炭産業の適格プロジェクトに対し、基準貸出金利で低利融資を行う。プロジェクトは主に、石炭のクリーンな採掘と加工、石炭火力発電の有効利用、炭層メタンの開発と利用を対象としている。会議ではまた、これらのプロジェクトは、政府による特別債券を通じたより多くの財政支援を受け、より低い自己資本比率の基準値と税率を享受することが提案された。

この特別融資は、PBoCが11月8日に開始した融資ツールを補完するもので、企業の排出量削減を支援するために低コストの融資を提供する。さらに、中国の習近平国家主席は9月、2030年までに炭素排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現するという国の目標に沿って、海外での石炭火力発電プロジェクトの新規建設を中止すると発表した。2021年、中国は石炭、鉄鋼、化学部門を中心に、高排出ガス・電力集約型事業の生産制限を実施した。それにもかかわらず、世界的なエネルギー価格の高騰と国内石炭供給の低下により、9月下旬から多くの地域で電力不足が発生した。これを受けて中国当局は、冬の電力不足を防ぐために石炭産業に対する生産制限を解除し、10月の全国の石炭生産量は3億5709万トンに達し、2015年3月以来の最高値を記録した。そのため、中国の石炭への依存度が短期間で低下することはないだろう。

情報源

http://www.gov.cn/zhengce/2021-11/18/content_5651536.htm

https://www.reuters.com/business/sustainable-business/china-set-up-200-bln-yuan-relending-facility-back-clean-use-coal-2021-11-17/

https://www.reuters.com/breakingviews/clean-coal-loans-put-chinas-green-dilemma-spot-2021-11-18/

https://www.reuters.com/world/china/chinas-oct-coal-output-rises-highest-since-march-2015-2021-11-15/