ロイター通信が1月9日に報じたところによると、物議を醸しているオーストラリアの炭素クレジット制度について、6ヶ月間にわたる見直しが行われ、この制度が誠実さを欠き、温室効果ガス（GHG）排出量の実質的な削減を達成できないという主張が退けられた。同国の元チーフ・サイエンティスト、イアン・チャブ氏が率いる検討委員会は、2011年に開始されたこの制度は「基本的に健全」で「基本的によく設計されている」と結論づけた。また、規制と報告の役割分担、森林伐採を回避するために欠陥のある手法に依存する新規プロジェクトの排除、「人為的再生」手法に関する情報開示規制の厳格化など、制度を改善するための16の提言を発表した。豪州政府は16の提言を基本的に受け入れ、いくつかの変更を直ちに実施するとしている。

オーストラリアの労働党政府は、2030年までに温室効果ガス排出量を2005年比で43%削減するという目標を達成するために、この制度が役立つかどうかを評価するため、2022年7月に炭素クレジット制度の見直しを開始した。この制度では、温室効果ガスの排出を貯蔵または回避するために政府が承認した方法を使用するプロジェクトは炭素クレジットを獲得することができ、政府または排出量を相殺しようとする汚染企業に売却することができる。一部の批評家は、炭素クレジットはこの制度の欠陥を利用して得られるものであり、新たな、あるいは実際の排出削減を表すものではないと疑問視している。例えば、人為的な森林再生プロジェクトの中には、実際には発生していない森林再生や、降雨によって自然に発生するはずの森林再生に対して炭素クレジットを得ているものがあった。Chubb率いる審査委員会は、すべてのプロジェクトが意図された基準（プロジェクト地域が二酸化炭素を永久に貯留する原生林となること）を満たすよう、対策を講じるよう求めている。

https://www.reuters.com/world/asia-pacific/australian-review-finds-no-problem-with-carbon-offset-programme-2023-01-09/

https://www.theguardian.com/environment/2023/jan/09/chubb-review-recommends-new-integrity-body-for-australian-carbon-credits-scheme

https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-01-09/australia-backs-carbon-credits-criticized-as-failing-climate#xj4y7vzkg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-07-01/australia-announces-carbon-credit-review-on-integrity-concerns